絲原家の正月行事 4

絲原家の居宅は江戸時代末期から大正時代末期にかけて十代徳右衛門の植林した木材を使って建築されたものです。建坪約350坪、床面積500坪のこの屋敷は本格的な書院造りで、部屋数が40室もあります。書院は明治時代の南画家田能村直入(たのむらちょくにゅう)により「煙霞屋(えんかおく)」と命名されています。母屋書院と庭をはさんで相対する座敷は、松江藩主の御成(おなり)屋敷として使われていた客殿であり、近衛文麿公をお迎えした和洋折哀の応接間などを有しています。
不昧(公の「茶の湯心得」、「奥儀書」などを所蔵する絲原家では、当主あるいは夫人が不昧流の茶をたしなむのが決まり事です。庭内には二つの茶室があり、お茶が自然と生活の一部となっています。
屋敷の前に広がる庭園は自然の山崖を借景として作られた出雲流庭園です。代々の当主が少しずつ自分流に造り替えてきたその庭園は絲原家の歴史が込められています。
数々の伝統を残す絲原家では、年間を通して昔ながらの行事が残されています。特に、正月行事は、年末の準備から始まり、仕事始めまで、古き慣例のままに、次なる世代に受け継がれてきました。現代社会ではこれらの行事の一つ一つが貴重な財産といえるのです。

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