正月飾り 1

「玄関の前に置く門松をはじめ、書院などの正月飾りは私どもの山や田畑からとってきた松竹梅、裏白や葉牡丹、そして干してあった藁などを使って、うちのものが総出で作ってくれます。注連縄や三宝作りは二十八日からとりかかり、三十一日の早朝から、神棚や書院などに飾りつけを始めるのです。
書院の飾り棚や床の間の掛軸を蔵から出すのは私の役目。中学校の頃から土蔵へは父に連れられて入り、父が道具を探す間、私は板の間に座らされましてね。蔵は夏は涼しくてよいけれど、冬は寒うございましてね。でも、今思えば、それで自然に身についたようで役立っています。
二の間の掛軸が大晦日と元旦とで替わるのも、昔からこうしてきたから。鍾馗(しょうき)図が掛けられるのは一年間で大晦日だけです。
正月飾りは、書院、二の間、三の間、客座敷と、それぞれ掛軸や屏風、生け花などを飾るとともに、鏡餅や五穀などを書院に、三宝を二の間に飾りつけます。
書院の鰤と大根は、海の幸と山の幸を一緒にお供えし、さらに、うちの五穀である、米、麦、小豆、大豆、そばをお供えするのです。これは三宝と同じように新しい年の豊作を祈るものです。

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