Q.お正月にあたり前に食べる「おせち」。そもそも何ですか?

Q.お正月にあたり前に食べる「おせち」。そもそも何ですか?
A.季節の変わり目である「節」に、神に供える食物が「お節(せち)」です。
昔から季節の変わり目である「節」には、神への食物を供え、感謝してきました。この食物を御節供(おせちく)と呼び、お節はその略です。神への供物は直会(なおらい)としていただくのは日本人の古来よりのしきたりです。正月のお節は歳神さまへの供物であり、繁栄を願う縁起物でもあるのです。
「美(うま)し国(可怜(うまし)国)」と呼ばれる伊勢にある伊勢神宮は、今から約2000年前、垂仁天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)によって天照大御神が祀られたといわれ、歴史と文化の源が今なお息づくところです。内宮と外宮にある神宮殿では御祈_の御神楽と御饌(みけ)を受け付けており、神恩に感謝し、健康や商売繁盛などを神さまに願うことができます。御饌は神饌(しんせん)をお供えして祝詞(のりと)、お神楽はさらに倭舞や舞楽などが付くご祈_です。ご祈_のあとは、饗膳所で、直会の饗膳をいただくことができます。白木の膳に載せられた四つの小皿は、よろこぶにも通じる結び昆布。昆布は広布(ひろめ)ともいい名や運が「広がる」ともいわれます。また、同じようにめでたいえび、そして神饌のうちで重要なあわびを模した干しいか。一杯の神酒で直会の席が設けられています。この饗膳に正月のおせちとともにいただく三種の祝肴に通じるものを見ることができます。
神々へのお食事である大御饌(おおみけ)、お供物は神饌(おもの)と呼ばれています。朝夕二回、約1500年もの間続けられてきた日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)。神饌は御飯、御塩、御水の三品と魚介、海藻、野菜、果物、清酒です。魚介や野菜等は日ごとに差し上げる品が替わります。特別なお祭り神嘗祭(かんなめさい)と、六月と十二月の月次祭(つきなみさい)では神餞の品目は30品にも及びますが、これらはすべて神宮の神田や御園で、古来の方法で作られたもの。神の召し上がりものと人の食物を同一視はできませんが、添加物ゼロの手作りの品と旬の新鮮な里の幸、海の幸が豊かに揃い、栄養バランスもおのずととれた最高の食事といえるでしょう。日本の食の原点といえる伊勢神官の神饌、御食(みけつ)国とも呼ばれる伊勢・志摩にはお節につながる日本人の食習慣が見えてきます。

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