洞国家の旧大庄屋の餅飾り(宮城・名取市) 1

敷地1500坪、周囲は幅3メートルの塀といぐね(防風林)に囲まれた洞国家は、重要文化財であり、旧仙台領内では大規模な農家です。
一年を通じてハレの日には餅をつく風習が残るこの家では、年末の二十八日に餅つきをします。神棚をはじめ各部屋や農機具などにまでにもお供えする「お福手(おふくで)」と呼ばれる餅作りと、神の依代(よりしろ)でもあり、年頭にあたって一年の作物の豊穣を祈るまい玉飾りのためのものです。
お福手は、福の神を重ねることから、二段重ねと決まっており、下に親指で紅を三か所に押した半紙を垂らします,この餅は望みに通じるようにと円満を表す丸餅で、正月飾りのみ紅白のものを使います。洞国家では鏡餅という言葉は使わず、お供え餅はすべてお福手と呼ばれています。神さまとの約束事のように押された紅の指紋捺印、部屋のあちこちに供えられたお福手、清浄なる注連縄に守られた部屋で過ごす大曲の洞口家のお正月は、太陽を大切にする農家ならではの、天照大御神をお正月さまとして迎え、ともに過ごす清閑な日々です。

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