正月飾り 2

書院祭壇には、絲原家定紋抱茗荷(だきみょうが)紋幕が張られます。
掛軸は中央に「御神號図」、左右に「大黒天恵比寿天図」松村景文筆双幅。
掛軸の前の正月飾りは、裏白と神馬藻(じんばそう)を敷いた丸と楕円二種のお鏡の上に橙と干し柿をのせ、その手前に鰤と大根、お神酒、五穀を並べます。
二の間・床の間の掛軸は、大晦日には谷文晁筆「鍾馗図」を掛けて魔を払い、元旦には中島来章筆「松ニ日ノ出図」に替えて御来光を迎えます。床の間の生け花は池坊流正月生花飾「松竹梅」。
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三宝は絲原家風の飾りつけ方があり、長年うちにいてくれる職員が代々作ることになっています。”三宝”とは、神棚などにお供えする三方に通じるのかもしれませんが、うちではこの字を使い、正月飾りの中で一番重要なものです。でき上がったら午後から三宝拝見の行事となります。私がそこで、今年の三宝について評価をしてから飾られます」

三宝も二の間に置く大切な正月飾りです。定紋入りの三方に米を敷きつめ、昆布を巻いた力餅を中央にすえて海の幸、山の幸を相伝のとおりに並べます。
また大きく見事な門松は、すべて絲原家の山林から切り出した材料だけで作られます。掃き清められた大戸口前に立てられます。

三宝作りは今も昔も大番頭の仕事です。でき上がった三宝は、当主の三宝拝見後、二の間の床の間に飾られます。
注連縄ないは釜屋でなされます。
新藁を吊り、三人で心合わせて、リズムをとりつつ編み上げていきます。藁は絲原家の田畑のものを使います。ここで編んでいるのは神棚用。戸口に注連飾りをつける風習はありません。

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