高麗橋吉兆 1

総本山・吉兆発洋の店が守り伝える”やんぽ”
「吉兆のおせちというのは、日頃お世話になっているお客さまへのお返しに、という考えからスタートしました。かつては高麗橋のお店に全店集まってお重に詰めていました。親族一同集合して行い、包装などもすべて一緒でした。私も子どもの頃から手伝わされていました。人が沢山集まるから、お祭りみたいで楽しかったですよ。時代が変わってそれぞれの店でおせちを作るようになりましたが、祖父の考えや心は今でも全店にしっかり受け継がれていると思います。孫が10人いますが、青山会という会を作って「吉兆」の将来を見据えた勉強をしています」
独自の美意識を貫かれた創業者・湯木貞一氏の孫にあたる湯木潤治氏。幼い頃から本物に触れてきた鋭い感性で、創業者心入れの店をお父上の敏夫氏とともに守ります。
「やんぽ(蓋盒)」とは、中国で料理を入れる蓋つきの小さな容器をいい、お茶人が菓子器として使うこともあります。祖父がこのやんぽを重箱代わりに、金銀の二段重として作らせたのが最初です。丸いことからおめでたい正月によく合い、お重を持ち込まなくてもすみ、好評を博しました。中にはそれぞれに口取り、焼きもの、炊き合わせ、生ずしを取り合わせて盛り込みます。」
今でも創業者とともに働いた料理人が多く残るこの店らしく、味と形をしっかり伝え、吉兆ならではの工夫を凝らした豪奢なおせちが詰められています。

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